ヘチ釣りは、堤防の壁際にエサを落とし込んでチヌ(クロダイ)を狙うシンプルで奥深い釣り方です。仕掛けがとてもシンプルで初心者でも始めやすく、ダイレクトなやりとりが楽しめることから多くの釣り人に愛されています。
この記事では、ヘチ釣りの基本的な仕掛けから道具選び、実釣テクニックまで詳しく解説します。正しい仕掛けの作り方と使い方をマスターすれば、初心者でも確実にチヌを釣ることができます。
本記事を読めば、ヘチ釣りに必要な仕掛けの全てが理解でき、実釣ですぐに活用できる知識が身につきます。

ヘチ釣りとは?シンプルな仕掛けでチヌを狙う魅力的な釣り
ヘチ釣りとは、堤防の壁際(ヘチ)にガン玉と針だけのシンプルな仕掛けを落とし込んでチヌを狙う釣り方です。壁に付着したイガイやカニなどを捕食しているチヌを、自然にエサが落ちる様子を再現してアプローチします。

ヘチ釣りの基本概念
ヘチ釣りの基本は、壁から剥がれて自然に落下するエサを演出することです。堤防の壁際には多くのイガイが付着しており、潮の動きや波の力で自然に剥がれ落ちます。
チヌはこの落下するエサを狙って壁際に居着くため、人工的にこの現象を再現することで効率よく釣ることができます。仕掛けを壁ギリギリに落とし込み、ゆっくりと自然に沈めていくのがコツです。
落とし込み釣りとの違い
ヘチ釣りと似た釣り方に落とし込み釣りがありますが、実は明確な違いがあります。
ヘチ釣り | 落とし込み釣り |
---|---|
2~3mの短竿を使用
穂先や道糸でアタリを取る
壁際メインを攻める
|
4~5mの長竿を使用
目印でアタリを取る
沖側も含めて広範囲を攻める
|
ヘチ釣りは短竿で壁際を集中的に攻める釣り方で、より機動力を活かしてランガンスタイルで楽しむ釣りです。
ヘチ釣りが人気な理由
ヘチ釣りが多くの釣り人に支持される理由は以下の通りです。
ヘチ釣りに最適な時期とポイント選び
ヘチ釣りで釣果を上げるには、適切なタイミングとポイント選びが重要です。チヌの活性が高い時期と場所を狙うことで、効率よく釣果に結びつけることができます。

ベストシーズンは夏(6月~8月)
ヘチ釣りの最盛期は6月から8月の夏場です。この時期は堤防の壁際にイガイがびっしりと付着し、チヌの格好のエサ場となります。
特に梅雨時期は濁りが入って警戒心が薄れるため、普段は釣れないような大型のチヌも期待できます。水温が上がることでチヌの活性も高くなり、一年で最も釣りやすい季節といえるでしょう。
時期 | 釣果期待度 | 特徴 |
---|---|---|
6月 | ★★★★★ | イガイが豊富、梅雨の濁りで好条件 |
7月 | ★★★★★ | 最盛期、数・型ともに期待大 |
8月 | ★★★★ | まだまだ好調、朝夕がおすすめ |
狙うべき時間帯
ヘチ釣りでは朝夕のマズメ時が最も釣れやすい時間帯です。薄暗い時間帯はチヌの警戒心が薄れ、積極的にエサを追うようになります。
特に朝一番の誰も釣りをしていない時間帯は、スレていないチヌが多く絶好のチャンスです。日中でも潮が動いている時間帯であれば十分に釣果は期待できます。
釣れるポイントの特徴
ヘチ釣りで狙うべきポイントには明確な特徴があります。
沖堤防の潮通しの良い面が最も有望で、特にケーソンの継ぎ目やスリット部分は一級ポイントです。こうした場所はチヌが身を隠しやすく、エサも溜まりやすいためです。
また、堤防の角や先端部分は潮がぶつかりやすく、多くのエサが集まるためチヌの魚影も濃くなります。イガイがびっしりと付着している壁面を見つけたら、必ずチェックしましょう。
ヘチ釣りの基本仕掛けを徹底解説
ヘチ釣りの仕掛けは驚くほどシンプルで、道糸・ハリス・ガン玉・針の4つの要素だけで構成されます。しかし、それぞれの選択と組み合わせが釣果を大きく左右するため、正しい知識を身につけることが重要です。

ヘチ釣り仕掛けの全体構成
ヘチ釣りの基本仕掛けは以下のような構成になります。
接続部分はできるだけシンプルにすることで、魚に違和感を与えずに自然な仕掛けの動きを演出できます。サルカンを使わずに直結することが理想的ですが、初心者の場合は極小サイズのサルカンを使用しても問題ありません。
道糸の選び方
道糸にはナイロンライン2号前後を使用するのが一般的です。ナイロンラインを選ぶ理由は、扱いやすさと視認性の良さにあります。
ヘチ釣りでは道糸の動きでアタリを取ることも多いため、蛍光グリーンやイエローなど視認性の高い色を選びましょう。マーキング付きのラインを使用すれば、タナの把握も容易になります。
PEラインやフロロカーボンを使うメリット・デメリット
PEライン:感度は抜群だが、風に弱く根ズレに注意が必要
フロロカーボン:根ズレに強いが視認性が悪く、初心者には扱いにくい
ハリスの役割と太さ選択
ハリスは根ズレに強いフロロカーボンの1.5~2号を使用します。長さは80cm程度が基本で、これより長すぎるとアタリが取りにくくなり、短すぎると根ズレで切れやすくなります。
チヌは意外にハリスの太さを気にしない魚なので、根の荒い場所では思い切って2号以上を使用しても問題ありません。ただし、警戒心の高い場所では細めのハリスが有効な場合もあります。
ハリス太さ | 適用場面 |
---|---|
1.5号
警戒心の高い魚に有効
根ズレに注意が必要
|
2号以上
根ズレに強い
大型とのやりとりも安心
|
ガン玉の重要性と使い分け
ガン玉は仕掛けを沈める重要な役割を果たします。B~3B程度を潮の速さや風の強さに応じて使い分けることが重要です。
基本的には軽いオモリの方が食いが良いですが、重すぎると不自然な動きになり、軽すぎると仕掛けが安定しません。適度な糸フケを保ちながら自然に落ちるバランスを見つけることがコツです。
無風で潮の流れが緩い日の堤防
ゆっくりと自然に沈む動きを演出
針の種類とサイズ選び
針はチヌ針の2~5号が基本です。エサの種類とサイズに合わせて選択しますが、イガイを使う場合は2~3号、カニを使う場合は4~5号が目安になります。
落とし込み専用針は軸が平たく打ちつけられており、ガン玉がズレにくい設計になっています。カン付きタイプを選べば、初心者でも簡単にハリスを結ぶことができます。
ヘチ釣りに必要な竿とリールの選び方
ヘチ釣りの醍醐味を最大限に楽しむには、専用の竿とリールが不可欠です。他の釣りの道具では代用が難しく、ヘチ釣り特有の繊細なアタリや自然な仕掛けの動きを実現するためには専用設計の道具を選ぶことが重要です。

ヘチ竿の特徴と選び方
ヘチ竿は2.4~3m程度の短竿で、繊細な穂先と軽量設計が特徴です。短竿を使う理由は、壁際での正確なキャストと機動性を重視するためです。
長さは2.4~3m前後がベスト
2.7~3mが最も汎用性が高い長さです。短い竿は軽量で取り回しやすく、長い竿は高い堤防でも風の影響を受けにくいメリットがあります。
釣行するポイントの足場の高さを基準に選ぶのがおすすめです。低い堤防メインなら2.4m、高い堤防が多いなら3m以上を選択しましょう。
硬さは釣り場に合わせて選択
竿の硬さは釣り場の環境に応じて選びます。
柔らかい竿 | 硬い竿 |
---|---|
障害物の少ない場所に最適
細いハリスが切れにくい
チヌの引きを楽しめる
|
スリット周りで有利
素早く魚を浮かせられる
大型とのやりとりも安心
|
肘当ての重要性
グリップエンドに付いている肘当ては非常に重要なパーツです。やりとり中に竿がブレにくくなり、仕掛けを落とす際にも穂先が安定します。
特別なこだわりがなければ肘当て付きを選ぶことをおすすめします。ただし、持ち方によっては邪魔になる場合もあるので、可能であれば実際に手に取って確認しましょう。
タイコリールの特徴と選び方
ヘチ釣りにはタイコリールが必須です。スピニングリールでは実現できない、自然な仕掛けの落下と繊細なライン操作が可能になります。
ギア比1:1の重要性
タイコリールの特徴はギア比1:1の設計です。ハンドル1回転でスプールも1回転するため、仕掛けの重みだけでスムーズに糸を送り出すことができます。
この機構により、親指一つでライン放出をコントロールでき、エサの落下速度を微調整することが可能です。これがヘチ釣りの肝となる自然なエサの動きを演出する秘訣です。
回転性能が釣果を左右する
タイコリールで最も重要なのはスプールの回転性能です。回転が渋いと仕掛けが自然に落ちず、チヌに違和感を与えてしまいます。
高価なリールほど回転性能が良い傾向にありますが、エントリーモデルでも十分な性能を持つものが多くあります。予算に応じて選択し、メンテナンスをしっかり行うことで性能を維持できます。
価格帯別おすすめヘチ釣りタックル
ヘチ釣りを始めるにあたって、予算に応じた最適なタックル選びをサポートします。初心者から上級者まで、それぞれのレベルと予算に合ったおすすめタックルを紹介します。

初心者向け(2万円以下)のおすすめセット
ヘチ釣りを初めて体験する方には、まずはコストを抑えて道具を揃えることをおすすめします。エントリーモデルでも基本性能は十分備わっています。
プロマリン 銀竜ヘチ 270は、リーズナブルな価格ながら繊細な穂先と軽量設計を実現しています。肘当ても標準装備されており、ヘチ釣りに必要な基本機能を全て備えています。
リールにはプロマリン バトルフィールド黒鯛 BK90NRがおすすめです。1万円以下という価格ながら回転性能が良く、ヘチ釣り入門には最適です。
- ヘチ釣りを試してみたい人
- 初期費用を抑えたい人
- まずは基本を覚えたい人
- 年に数回程度の釣行予定の人
- 他の釣りとの兼用を考えている人
中級者向け(2~4万円)のおすすめタックル
ヘチ釣りの面白さを実感し、もっと本格的に楽しみたいと思った方には、中級者向けタックルがおすすめです。基本性能が格段に向上し、より繊細な釣りが可能になります。
ダイワ BJスナイパー ヘチX XH-240は、9:1の超先調子設計で感度が抜群です。SiCガイド搭載で糸滑りも良く、スリット周りでのやりとりにも対応できるパワーを備えています。
リールは黒鯛工房 THEヘチセレクション88Wがおすすめです。回転性能の向上に加え、細かな調整機能も搭載されています。
項目 | 初心者向け | 中級者向け |
---|---|---|
感度 | 基本的なアタリは取れる | 微細なアタリも明確に感知 |
耐久性 | 普通の使用なら問題なし | ハードな使用にも対応 |
操作性 | 基本操作は十分 | 精密なコントロールが可能 |
上級者向け(4万円以上)の本格タックル
ヘチ釣りを極めたい方には、最高峰の性能を誇る上級者向けタックルをおすすめします。素材から設計まで妥協のない仕様で、ワンランク上の釣りを実現できます。
がまかつ がまチヌ へちさぐり銀参郎は、高弾性カーボンを使用した軽量高感度設計で、年無しサイズでも余裕で浮かせるパワーを備えています。
さらに上を目指すならがまかつ 銀参郎アルティメイトがおすすめです。10万円超の価格ですが、極限まで追求された性能は別次元の釣りを体験させてくれます。
ヘチ釣りのエサと付け方のコツ
ヘチ釣りの成否を左右するのがエサの選択と付け方です。チヌが普段捕食している自然のエサを使い、正しい付け方をマスターすることで釣果は格段に向上します。

定番エサ「イガイ(カラスガイ)」の使い方
イガイ(カラスガイ)はヘチ釣りで最もポピュラーなエサです。チヌが普段から捕食している自然のエサなので、警戒心を与えることなく確実に食わせることができます。
イガイの採取方法
イガイは堤防の壁面や岩場に多く付着しています。満潮時に潮をかぶる部分に密集していることが多く、手で簡単に採取できます。
足場の高い沖堤防ではイガイ取り器が必要になる場合があります。タモの先端に装着して使用し、効率よく採取することができます。採取したイガイは濡れた新聞紙に包んで冷蔵庫で保存すれば、1週間程度は使用可能です。
正しい針の刺し方
イガイの付け方は釣果に直結する重要なポイントです。
イガイの尖った部分のやや下にハリ先を刺し入れます。蝶番側は避けて、固い部分から針を入れるのがコツです。
針を刺し入れたら向きを反転させて、フトコロ部分までぐりぐりと埋め込んでいきます。
フトコロ部分が完全に入ったところで、ゆっくりと針を起こすようにして針先を外に出して完成です。
小さな稚貝をダンゴ状に使う場合は、繊維部分を利用して2〜3回縫い刺しにします。
カニエサの効果的な使い方
カニ(タンク)はイガイでアタリがない時の切り札的なエサです。動きのあるエサなので、チヌの興味を強く引くことができます。
カニの種類と選び方
ヘチ釣りで使用するカニは小型のイソガニが一般的です。イガイを採取する際に一緒に捕獲できるほか、釣具店で購入することも可能です。
生きの良いカニほど効果的なので、生かしバケツで鮮度を保つことが重要です。弱ったカニでも十分に効果はありますが、動きがあるカニの方がチヌの反応は良くなります。
カニの針への付け方
カニの付け方にはコツがあります。
下から2本目の足の付け根に針先を刺し入れ、一番下の足の付け根から抜きます。針先が少し出たところでストップし、カエシまで出さないことが重要です。
カニエサを使用する時は、針にガン玉を直接付けず、チモトから2〜3cm離したハリス部分にガン玉を付けます。これによりカニが自由に動けて、より自然なアピールが可能になります。
その他の有効エサ
イガイとカニ以外にも、状況に応じて使える効果的なエサがあります。
エサ | 特徴・使用場面 |
---|---|
アオイソメ
パイプ虫
|
入手しやすく保存も利く
イガイが少ない時期に有効
|
地エビ
アオコガネ
|
大型チヌに効果的
高活性時によく効く
|
ヘチ釣りの基本的な釣り方
ヘチ釣りはシンプルな動作の連続ですが、それぞれの動作を正確に行うことで釣果は大きく変わります。自然にエサが落下する様子を演出することが最も重要なポイントです。

仕掛けの投入方法
ヘチ釣りでは「投げる」のではなく「落とし込む」ことが基本です。壁から剥がれて自然に落下するエサを演出するため、できるだけ壁際ギリギリに仕掛けを送り込みます。
まず、狙うタナの分だけあらかじめリールから道糸を出しておきます。浅いタナ(1.5m前後)を狙う場合は、竿を下ろしながらエサを送り込みます。深いタナを狙う場合は、リールを逆転させてエサを落としていきます。
重要なのは糸を張らず緩めずの状態を保つことです。適度な糸フケを保ちながら、自然にエサが沈んでいくように調整します。
アタリの取り方
ヘチ釣りのアタリには明確なものから微細なものまで様々なパターンがあります。
微細なアタリの場合は、ゆっくりと穂先を聞き上げて魚信を確認します。明確な重みや引きを感じたら、素早くアワセを入れましょう。
やりとりのコツ
アワセが決まったら、道糸と穂先の角度が90度になるように竿を構えてやりとりします。チヌは初期の引きが強いので、慌てずにやりとりすることが重要です。
基本的には糸を出さずにチヌを浮かせることを心がけます。スリット周りなど障害物がある場合は、特に素早く浮かせて空気を吸わせることで主導権を握れます。
魚が泳ぐ方向に竿先を持っていくことで、ハリスにかかる負荷を軽減しながら距離を詰めることができます。
安全な取り込み方法
ヘチ竿は繊細な設計のため、抜き上げは厳禁です。必ずタモを使用して安全に取り込みます。
タモ入れの際は、魚を追い回さずに魚が来るのを待つような感覚で行います。慌てて追いかけると魚が暴れて針外れの原因となります。
ヘチ釣りで釣果を上げる5つのコツ
ヘチ釣りで安定した釣果を上げるためには、基本的な技術に加えていくつかの重要なコツがあります。これらのポイントを意識するだけで、釣果は飛躍的に向上します。

壁ギリギリを狙う重要性
壁ギリギリを狙うことは絶対的に重要です。自然界では壁から離れてエサが落ちることは稀なので、壁から少しでも離れるとチヌの反応は露骨に悪くなります。
理想的には仕掛けが壁に触れるくらいギリギリを狙います。最初は根掛かりを恐れて離しがちですが、慣れてくれば壁スレスレに落とし込めるようになります。
イガイがびっしり付いた壁面で釣り開始
壁ギリギリ:即座にアタリが出てヒット!
スリットを重点的に攻める
ケーソンの継ぎ目やスリット部分はチヌが身を隠す絶好のポイントです。長い堤防を闇雲に探るより、こうした変化のある場所を重点的に攻める方が効率的です。
スリットでは仕掛けを縦に落とし込むのがコツです。横から攻めるより、真上から落とした方がチヌの警戒心を与えません。ただし、潜られてラインブレイクするリスクもあるので、太めのハリスを使用しましょう。
エサの落とし方にメリハリをつける
同じ速度で機械的に落とすのではなく、エサの落とし方に変化をつけることが重要です。
時には途中で止めたり、ゆっくり沈めたりすることで、チヌの注意を引くことができます。特に反応が悪い時は、このような誘いの動作が効果的です。
基本的な落とし方 | 応用的な落とし方 |
---|---|
一定速度で沈める
自然な落下を演出
|
途中で止める
ゆっくり誘い上げる
再度沈める
|
適切なガン玉の調整
その日の潮の流れや風の強さに応じてガン玉を調整することが重要です。重すぎると不自然な動きになり、軽すぎると仕掛けが安定しません。
基本は軽めから始めて、仕掛けが流されるようなら徐々に重くしていきます。適切な重さが見つかると、糸フケを保ちながら自然に沈んでいく理想的な状態になります。
潮の動きを読む
ヘチ釣りでは潮の動きを読むことが釣果に直結します。満潮前後の上げ潮時が最も狙い目で、潮が動いている面を集中的に攻めます。
潮の動きは浮上している泡やゴミの動きを見れば判断できます。動いている面には多くのチヌが集まる傾向があるので、効率よく釣果を上げることができます。
ヘチ釣りでよくあるトラブルと対処法
ヘチ釣りは比較的トラブルの少ない釣りですが、特有のトラブルもあります。事前に対処法を知っておくことで、釣り場でのトラブルを最小限に抑えることができます。

根掛かりの対処法
壁際ギリギリを攻めるヘチ釣りでは、根掛かりは避けられないトラブルです。しかし、正しい対処法を知っていれば被害を最小限に抑えることができます。
根掛かりした時は無理に引っ張らず、角度を変えて外すことを試します。竿を左右に振ったり、下から煽るように動かすことで外れる場合があります。
どうしても外れない場合は、ハリス部分で切れるように力を加えます。道糸まで切ってしまうと大きな損失になるので、ハリス切れで済むような力の入れ方を心がけましょう。
糸絡みを防ぐ方法
風が強い日や慣れないうちは糸絡みが発生しやすくなります。予防と対処の両面から対策することが重要です。
予防策として、リールから出す糸の量を最小限にすることが効果的です。また、キャスト時に糸を出しすぎないよう、親指でスプールをコントロールします。
絡んでしまった場合は、無理に引っ張らずに丁寧にほどくことが大切です。焦って引っ張ると余計に絡んでしまいます。
エサ取り対策
フグやベラなどのエサ取りが多い場合の対策も重要です。これらの魚に邪魔されてチヌが釣れないケースがよくあります。
エサ取りが多い時は、エサを大きめにしたり、落とすスピードを速くすることで回避できる場合があります。また、ポイントを移動してエサ取りの少ない場所を探すことも有効です。
メリット | デメリット |
---|---|
大きめのエサで対策
落下速度を上げる
ポイント移動で回避
|
エサの消費が激しい
自然な動きから離れる
移動の労力がかかる
|
大物がかかった時の対応
年無しクラスの大型チヌがかかった時は、慌てずに対応することが重要です。ヘチ竿は繊細な設計なので、無理なやりとりは禁物です。
竿の弾性を活かしてチヌの引きをいなすことが基本です。決して力で抑え込もうとせず、竿が曲がる範囲でやりとりします。
スリット周りでかかった場合は、素早く浮かせて障害物から離すことが重要です。一度浮かせて空気を吸わせれば、チヌの勢いは大幅に弱まります。
ヘチ釣りに必要な小物・便利グッズ
ヘチ釣りを快適かつ効率的に楽しむためには、竿やリール以外の小物類も重要です。機動力を活かすヘチ釣りでは、便利グッズを上手に活用することで釣果向上につながります。

エサ箱の選び方
エサ箱は機動性を重視するヘチ釣りにおいて必須アイテムです。ベルトに装着できるタイプを選び、両手を自由に使えるようにすることが重要です。
保冷機能付きのエサ箱を選ぶことで、夏場でもエサの鮮度を保つことができます。仕切りが付いているものなら、イガイとカニを分けて保管でき、さらにガン玉やハリなどの小物も一緒に収納できます。
サイズは大きすぎると邪魔になるので、必要最小限の容量を選ぶのがポイントです。長時間の釣行でも疲れない軽量タイプがおすすめです。
イガイ取り器の必要性
足場の高い沖堤防ではイガイ取り器が必須となります。タモの先端に装着して使用し、手の届かない場所のイガイも効率よく採取できます。
しっかりとした作りのものを選ぶことが重要です。安価なものは壊れやすく、肝心な時に使えなくなるリスクがあります。使用後は海水で洗って乾燥させることで長く使用できます。
ランディングネットの重要性
ヘチ竿は繊細な設計のため、ランディングネットは絶対に必要です。抜き上げは竿の破損リスクが高く、安全な取り込みのためには欠かせません。
ヘチ釣りは移動を繰り返すので、コンパクトな小継タイプがおすすめです。長さは釣り場の足場の高さに応じて選びますが、東京湾の沖堤防なら5m程度で十分対応できます。
枠径は45~50cmが適当で、あまり大きいと風の抵抗を受けやすくなります。軽量で持ち運びやすいものを選び、長時間の釣行でも負担にならないよう配慮しましょう。
釣り場 | 推奨長さ | 備考 |
---|---|---|
低い堤防 | 4m程度 | コンパクトで取り回し良好 |
沖堤防 | 5~6m | 足場の高さに対応 |
高い堤防 | 6m以上 | 余裕を持った長さが安心 |
安全装備(ライフジャケット等)
安全装備は命に関わる重要なアイテムです。特にライフジャケットは必ず着用し、万一の落水に備えましょう。
ヘチ釣りでは身軽な動きが求められるため、自動膨張タイプのライフジャケットがおすすめです。落とし込みベルトを使用する場合は、ベストタイプ(肩がけ)を選択してベルトとの干渉を避けます。
その他の安全装備として、滑り止めの効いたフェルト底の靴や日除けのための帽子も重要です。夏場の堤防は日陰がないため、熱中症対策も忘れずに行いましょう。
ヘチ釣り仕掛けに関するよくある質問
ヘチ釣りを始める際に多くの方が疑問に思うポイントをQ&A形式でまとめました。これらの疑問を解消することで、より確実にヘチ釣りをスタートできます。

初心者が最初に揃えるべき仕掛けは?
初心者の方にはセット仕掛けから始めることをおすすめします。必要なガン玉、ハリス、針がセットになっており、すぐに釣りを始められます。
自作する場合は、道糸2号・ハリス1.5号・ガン玉B~3B・チヌ針3号の組み合わせが最も汎用性が高く、様々な状況に対応できます。
初心者向け基本セット内容
道糸:ナイロン2号(蛍光色)100m
ハリス:フロロカーボン1.5号
ガン玉:B、2B、3Bを各10個
針:チヌ針3号を10本
予算目安:2,000円程度
仕掛けの自作は可能?
ヘチ釣りの仕掛けは非常にシンプルなので自作が可能です。むしろ、自分で作ることで仕掛けの構造を理解でき、現場でのトラブル対応力も向上します。
結び方はクリンチノットやユニノットをマスターすれば十分です。最初は時間がかかりますが、慣れてくれば数分で仕掛けを作れるようになります。
自作のメリットは、現場の状況に応じてカスタマイズできることです。ハリスの長さやガン玉の位置を微調整することで、より効果的な仕掛けが作れます。
ハリス切れを防ぐ方法は?
ハリス切れの主な原因は根ズレと魚の急激な引きです。予防策として、まず根の荒い場所では太めのハリス(2号以上)を使用しましょう。
結び目の強度も重要で、正しい結び方をマスターすることで大幅に切れにくくなります。唾液で結び目を湿らせてから締め込むことで、摩擦による劣化を防げます。
また、定期的なハリス交換も重要です。特に根に擦れた形跡があるハリスは、見た目に問題がなくても強度が落ちているため早めに交換しましょう。
潮の状況による仕掛け調整は?
潮の流れや強さに応じてガン玉の重さを調整することが基本です。
風が強い日は通常より重めのガン玉を使用し、糸フケが風に影響されないようにします。逆に無風の日は軽めのガン玉で、よりナチュラルな仕掛けの動きを演出できます。
上げ潮と下げ潮でも調整が必要で、下げ潮の方が一般的に仕掛けが流されやすいため、やや重めのガン玉が効果的です。
ヘチ釣りはシンプルだからこそ奥が深い釣りです。基本的な仕掛けから道具選び、実釣テクニックまでをマスターすれば、初心者でも確実にチヌを釣ることができます。
最も重要なのは壁ギリギリに自然にエサを落とし込むことです。この基本を忠実に実践し、状況に応じて仕掛けを微調整することで、必ず釣果につながります。
道具もエントリーモデルから始めて、上達に合わせてステップアップしていけば十分です。まずは基本的な仕掛けと釣り方をマスターして、ヘチ釣りの魅力を存分に味わってください。
